岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)は、インターネットの黎明期を背景に、地方都市に住む中学生たちの閉塞感と痛みをえぐり出した衝撃的な青春映画です。架空の歌姫「リリイ・シュシュ」の音楽を心の拠り所に、ネット掲示板で繋がる少年たちが、現実世界のいじめや犯罪、崩壊していく友情の中で居場所を失っていく姿を描きます。

本作の大きな特徴は、全編デジタルカメラで撮影された、どこか現実味のない、しかし刺すような美しさを持つ映像です。小林武史によるエーテル(魂)を感じさせる楽曲群と、市原隼人、蒼井優ら当時新進気鋭だった俳優たちの生々しい演技が、若さゆえの残酷さと美しさを際立たせています。

掲示板の書き込みが画面を埋め尽くす演出や、ドビュッシーの調べに乗せて描かれる悲劇は、公開から数十年経った今でもカルト的な支持を集め続けており、当時の若者たちの「リアル」を真空パックしたような一作です。