1983年に公開され、当時の日本映画史上最高の興行収入を記録した『南極物語』は、実話をベースにしたあまりにも過酷で美しい物語です。南極観測隊が帰還する際、悪天候のために置き去りにせざるを得なかった15頭の樺太犬たち。1年後に再び南極を訪れた隊員たちが目にした、奇跡の再会を描いています。

高倉健演じる観測隊員・潮田の、犬たちを見捨ててしまったという深い罪悪感と苦悩が、南極の圧倒的な大自然の厳しさと対比され、観る者の胸を締め付けます。そして何より、過酷な極寒の地で仲間を失いながらも、野生の本能を研ぎ澄まして生き抜こうとするタロとジロ、そして他の犬たちの姿は、言葉を超えた生命の強さを物語っています。ヴァンゲリスによるシンセサイザーの壮大な旋律が、この生命の叙事詩をより神聖なものにしています。

人間と動物の絆、そして自然への敬畏の念を、一切の妥協なく描き切った本作は、日本映画史に燦然と輝く「生命の物語」であり、今なお色褪せない感動を与え続けています。