中田秀夫監督による『リング』(1998年)は、「Jホラー」というジャンルを確立し、世界中に日本のホラー映画の恐怖を知らしめた金字塔です。「見ると一週間後に死ぬ」という呪いのビデオテープの謎を追う物語は、都市伝説的な不気味さとサスペンスを見事に融合させています。

本作の特徴は、血しぶきや過度なスプラッター描写に頼らず、「見えないものへの恐怖」や「じわじわと迫り来る静かな恐怖」を演出している点にあります。この湿度の高いじっとりとした恐怖演出は日本独自のものであり、クライマックスにおける貞子がテレビ画面から這い出してくるシーンは、映画史に残るトラウマレベルの恐怖を観客に植え付けました。

後にハリウッドで『ザ・リング』としてリメイクされるなど、その影響力は計り知れません。テクノロジー(ビデオテープ)を媒介とした呪いという設定は、当時としては極めて斬新であり、ホラー映画の新たな可能性を切り開いた歴史的な作品です。