1996年に公開され、日本中に社交ダンスブームを巻き起こした周防正行監督の『Shall we ダンス?』は、笑いと涙、そして人生への肯定に満ちた極上のエンターテインメントです。真面目なサラリーマンの杉山が、通勤電車の窓から見えたダンス教室の美しい講師に惹かれ、内緒でダンスを習い始めることから、物語は瑞々しく動き出します。

役所広司が、戸惑いながらもダンスの楽しさに目覚めていく中年男性を愛嬌たっぷりに演じ、竹中直人や渡辺えりといった強烈な脇役陣が、物語に爆笑の彩りを添えています。社交ダンスという、当時の日本では少し気恥ずかしさがあった題材を、誰にでもある「何かを始めたい」という純粋な情熱と結びつけ、誰もが共感できる普遍的なドラマへと昇華させました。

ラストのダンスシーンの清々しさは圧巻であり、観終わった後に誰もが「踊り出したい」気分にさせられる魔法のような力を持っています。ハリウッドでリメイクもされた、日本コメディ映画の金字塔です。